天使のような悪魔の笑顔で…

いよいよ、ラストです☆＾＾
６月
「去年の夏、たまたま立ち寄った教員室前の
廊下で君の絵を見つけた」
「世界中の色を全て詰め込んだような鮮やかな色
心の強さを表すような強いタッチ」
「何年もの時間が経っていても
君という人間はそこにいた」
「思わず自分の手を見た。
夢とか希望とか、何も持っていないつまらない手」
「君とはあまりに違いすぎて
君に声をかけることもできなかった」
「ようやく君に会えたのに。
君はこんなにそばにいるのに」

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７月
「生徒会室に君がいる。
手を伸ばしたら触れてしまう距離に君がいる」
「少しだけ見つめて目をそらす。
苦しんでいる君を見てられなくて」
「君に不可能なんてなかったはずだ。
君の手は世界を知っているから」
「何ができる？何をしたらいい？
いや、俺にできることなんてあるはずがない」
「君のそばにいると
オレは落ち着かない」
「君を見つめて
とにかく焦ってしまうんだ」
「何もできない自分に
ただイライラしてしまうんだ」

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８月
「いつもと変わらない夏なのに
なぜか胸が高鳴っていた」
「君が近くにいるからだ。
君と一緒にいるからだ」
「キラキラ光る日差しが照りつける通学路を
君が待つ学校へ向かう、ただそれだけで
驚くくらいに胸が高鳴る」
「オレは一体、何をしているんだ」
「ふと立ち止まり、空を見る。
君に会えたから、どうだって言うんだ。
オレは君に、何もしてやれないのに」
「それでも君に会うために
息を切らして学校へ向かう。
ただ、君に会いたくて」

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９月
「携帯にメールを入れようとして
何度もためらって、手を止める」
「もしかしたら、
君はもう約束してるかもしれない」
「辻や水沢は同じクラスだし
芝崎だって、彼女と一緒に回りたがるに
決まってるから」
「贅沢になってきている
君と一緒にいたくて
自分がおさえられない」
「本当にくだらない。
何をやっているんだ、オレは」
「明日になったらメールをしよう。
とにかくメールをして、それから……」
「……くだらない。
確かにそうだけど」
「くだらなくても、
オレにとっては大きなことなんだ」

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１０月
「ただ筆を持って
ただキャンバスに向かって」
「塗料を塗りつければ、白は消え
世界ができていく」
「それだけのことなのに、その世界は遠く
地球の裏側で起きている出来事のようだ」
「絵を描かなくなった君は
変わらず笑っているというのに」
「君の手から
世界がぼろぼろとこぼれ落ちていく」
「もう二度と、
君に何かを失わせたくないのに」

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１１月
「立ち止まって動けなくなる。
そのまま、目の前はどんどん暗くなる」
「気付けば暗闇にひとり残されて
息苦しいその空間で声もでなくて
そのままひとり取り残される」
「君の感じている苦しみを
一番知っているからこそ
今の君を見ていられないんだ」
「オレは決めたから」
「君のためにできることを
オレは必死になってやると
オレは決めたんだ」

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１２月
「見てみないふりを
何度もしてきた」
「たったひとりの弟で
ずっと一緒に暮らしてきたのに」
「誠二とは年は近いのに
ろくに合う話もなくて」
「あいつとは違うんだ。
全く違う人生を歩むんだと」
「兄である立場以前に
ちゃんと向き合うこともせず」
「人として接する心までも
失っていたのかもしれない」
「君はこんなオレを知ったら
がっかりするだろうね」
「今は君に合わせる顔もないよ」

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１月
「当たり前のことだけど
何もしなかったら
何も始まらない」
「誠二のこともそうだった」
「オレは歩き出そうと思う。
君と一緒に歩き出したい」
「こわがらなくてもいい。
まずはオレが先へ行くから」
「君は安心してついてくればいい。
オレがちゃんと見ててやるから」

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２月
「君がそばにいすぎて怖い。
本当のことを知られてしまうのが」
「君はオレを許してくれるのだろうか。
オレに話しかけて笑って
この手を優しく掴んでくれるのだろうか」
「オレ自身でさえ、許せないと言うのに」
「筆を持てば
いやでも過去に戻される」
「嫌われるか、避けられるか。
それでもいい」
「君がもう一度筆を持つなら
オレは決して後悔はしないだろう」

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３月
「小さい頃の君は、とても優秀で
オレなんかには手の届かない
憧れのオンナノコだった」
「それなのに
オレのそばには君がいて」
「明日学校に行けば
また会って話をして
笑えるんだと」
「そして、またいつか一緒に
絵を描いたりするんだと思ったら
胸が高鳴って、とても眠れそうにないから」
「今日はずっと君のことを考えていたいんだ」