天使のような悪魔の笑顔で…

真人は、７・８月はありません。
６月
「キミの絵を初めて見たとき
今まで見たこともない真新しい世界に
俺の胸は震えた」
「感動とおどろきと嫉妬さえも感じていたんだ。
オレとはまったく違う絵の世界を持ってる君に」
「考えてみたら、バカみたいな話だね。
１０以上も違う子供にムキになったりして」
「でもそれだけ
キミの絵に惹かれてたってことだよ」
「こんなに生意気な絵を描くキミにも
興味津々だったけどね」

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９月
「外の世界へ出ることはいいことだよ
キミのような、殻へ閉じこもった人にはね」
「たださ、俺が一緒にいないのは残念だね」
「だって、今のキミに何かを見つけることなんて
できるようには見えないから」
「その瞳には、何も映らない
ねぇ、そうだろ？」
「俺が一緒なら、キミのかわりに
何かを見つけてあげる」
「それはやがて
キミを変える何かになるんだよ」
「それができるのは、俺だけだよ
ね、俺に興味がわいてきただろ？」

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１０月
「俺はあまりキミのコトを知らない。
今何をしているか、とか、
今何を考えているか、とか」
「でも、それを考えたりするのが
最近、楽しかったりするんだ」
「ハハッ……おかしいかな？
俺もこんなこと初めてなんだよね」
「とにかくもう一度
キミに会いたい。
キミをもっと知りたい」
「そしたら俺は
キミに夢中になるかもしれないし、
大嫌いになるかもしれない」
「楽しみなんだ、とにかく」

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１１月
「キミは生意気だ」
「弱って弱って
泣きそうなくせに
それを認めようとしない」
「かわいくないなぁ」
「いや、かわいいんだけど
かわいくない。
いじめたくなるよ」
「それにしても
慎也も誠二もキミを
気に入ってるんだろ？」
「人気者なんだなぁ……妬けちゃうね」
「さて、俺はどうしようかな」

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１２月
「甥っこたちが
俺の過去をなぞる」
「あの家の悲しい過去は
何度となくループするんだ」
「俺のカラダを悲しい思い出がめぐる。
まだ、忘れてはいけないのだと
全身を震わせる」
「呼び起こされた悲しい過去に胸が痛む
後悔なんてしたこともないのに」
「キミはどう思うんだろう。
あんな家で育った俺たちのことを」

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１月
「慎也の同級生で
誠二の先輩で
そして俺の気になる人」
「さあ、どうする？
そろそろ、決めなきゃいけないよ」
「きれいごとは言ってられないなぁ
欲しいものは欲しいと
正直に言うことにしてるんだ」
「わかる？キミのことだよ。
そう、
キミが欲しくなったってこと」

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２月
「困ったな、キミみたいな子供に
どれだけ本気になればいいんだろう」
「どこへ連れて行ってあげたらいいか…とか
これをあげたらキミは喜ぶかな…とか
暇さえあれば、キミのことを考えているんだよ」
「さて、そろそろ授業も終わるね。
早くキミに会いにいかなくちゃ」

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３月
「嫌な予感がしていた。
数日前から、調子が出なかった」
「疲れてるからって思ったけど
でも実際はそんなことじゃなかった」
「視界は閉ざされてしまった。
突然前が見えなくなって」
「キャンバスは真っ白のまま
何も生まれようとはしない」
「これ、何……。
これがキミが感じてきたことなの？」
「こんな暗闇は初めてで」
「今、欲しいのはキミの手。
キミのぬくもり」