天使のような悪魔の笑顔で…

残りのCROSS OVERを記載します。
６月
「センパイの絵がすごくて
去年なんだかの賞をもらって
すげー人だってことは知ってた」
「でも、オレ
絵とかよくわかんないし」
「なんつーか、興味？
兄貴が気にしてる人に
会ってみたかっただけ」
「でも会ってみたら案外普通の人でさ。
オレ、ちょっと拍子抜けした」
「たださ……
この人と話してると
少しだけ元気になれるんだよね」
「じっと見てたら、なんか胸がドキドキなって。
なんか、変な感じがするんだよね」

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７月
「悪いけど、恋愛とかしたことない。
オンナノコとか、意識したこともない」
「だってさ、そういうのって
普通の人がすることでしょ？」
「オレ、全然普通じゃないし。
そんな余裕もないし」
「だけどさ、あの人悩んでるんだよね。
苦しんでるんだよね」
「なんかよくわかんないんだけど、気になる。
センパイのことが気になる」
「ねぇ、センパイ
オレ、アンタに何してあげたらいいの？」

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８月
「夏ってうざい。
暑いし、だるいし。
セミうるさいし」
「何より、学校なくて
センパイに会えないのがつまんない」
「センパイは、オレの中、どんどん入ってきて
頭の中ぐちゃぐちゃにする」
「オレ、ほんとはさいてーな奴なのに
そんなこともわかってないし。
オレのこと『かわいい』とか言うし」
「夏もムカつくけど
センパイもムカつく」
「あーあ、
なんか、オレ、ばかみたいだし。
とにかく、センパイに会いたい」

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９月
「ヤダヤダヤダ。
絶対、ヤダ」
「センパイが３日間もいないなんてありえないし
兄貴とずっと一緒とか
絶対認められないよ」
「なんなんだよ。
１コしか違わねーのに
すっげー不利」
「オレ絶対にヤダから。
大体、普段から兄貴ずっと生徒会で一緒なのに」
「さらに３日間も
一緒にお泊りってどういうことだよ」
「絶対ダメ。
行かせたくないよ、センパイ。
ぜーーーったい、ダメだからね、センパイ」

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１０月
「美術部の友達に頼み込んで
部室に置きっぱなしになっていた
センパイの絵を見せてもらった」
「文部大臣賞を取ったというその絵は
色鮮やかで、ただの絵なのに
ドキドキさせる生命力に溢れていた」
「一瞬にしてオレの心を掴んで
そのまま離そうとしない」
「なんだよ、これ。
すげーじゃん」
「笑ってもいいよ。
オレはさ、すげー格好悪いことに
泣いてしまったんだ」
「絵がすごいのと
オレが情けないのと」
「まだ、何も始まってないんだ。
このままのオレじゃ
恋もできない」

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１１月
「オレが変わろうとすれば
あの人が混乱するのは、なんとなく予想がついた」
「泣いたり、怒ったり
ヒステリックに叫んだり」
「鳴り続ける携帯
あの人がオレに持たせたもの」
「うざいと思いながらも
電源、切れねーし」
「オレは本当にこの人から逃れられるのかな。
センパイ、アンタのもとへ行けるのかな」
「震えながらも
ゆっくりと足を前へ踏み出す」
「でも、もう決めたんだ。
オレは変わるんだって」

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１２月
「心が痛いのとカラだが痛いのと
どっちがツライんだろ」
「オレの手も足も
ドロドロしてる。
なんかすげー気持ち悪い」
「オレを呼ぶ声がする。
センパイじゃなくて、あの人の」
「オレ、いつになったら
ここから抜け出せるのかな」
「暗い闇につかまってるのは
アンタも一緒だよね、センパイ」
「伸ばされた手
その手をオレはいつとってあげられるんだろう」
「オレはそこから救ってあげられるのかな」
「センパイ。
……センパイッ」
「アンタにすげー会いたい」

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１月
「センパイ、オレさ
本当になんにもなくなっちゃったよ」
「カラダも心もすごく軽い。
ちょっと不安になりそうなくらい」
「でもさ、今
やっと歩き出せた気がする。
オレ、まっすぐ前へ進めてる気がする」
「待ってて、センパイ。
オレ、すっげーかっこよくなるから」
「そしたら、センパイに
オレを全部あげるからね」

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２月
「ごめんね、オレ
全然センパイかまってあげられなくて」
「最近オレのこと心配そうに見てたりするでしょ。
そういうの、すげーかわいいって思うよ」
「そのうち時間ができたら
一緒にどこか行こう」
「オレさ、アンタに見せたいもの
すげーいっぱいあるんだよ」
「手つないでさ。
いっぱい話して、笑って。
忘れられない一日にするんだ」
「だからセンパイ
もう少し待っててね」

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３月
「センパイに会うまで
何も見てなかった。
何も聴こえてなかった」
「センパイに会って
胸が熱くなって
その後、苦しくなって」
「情けなくなったり
涙が出たり」
「すっげー格好悪いことばかりだけど、
でも、それでよかったんだ」
「変わるってそういうことだよね」
「オレ、アンタに会えてよかったよ」